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北海道で働く女性獣医師の動物病院経営ブログ

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糖尿病の猫

昨日の朝一番にきれいなグレーの猫が、飼い主の奥様に大切そうに抱かれてやって来ました。
でも、なにか様子が変です。

診察台の上ではぐったり横たわり動けない状態で、体も冷たくなり意識レベルも低下しています。
「2週間まえから吐くようになり、今日から食事も取れなくなりました。もう10歳も越えているので年なんでしょうか。」
 検査の結果、糖尿病性のケトアシドーシスで脱水重度、中程度の腎不全と貧血、黄疸が合併していて、かなり危ない状態だと言う事が分かりました。
 すぐに入院してもらい点滴を始め、インスリンを打ち、血糖値や電解質の補正やモニターで半日つきっきりでした。
 ところが夕方近くなって排尿がないのに気がつきました。
血糖値が高い動物に点滴すれば、浸透圧利尿により尿量が増えるのが当然なのですが、夜中まで待ってみても排尿がありません。
点滴量を減らして朝まで様子を見ていたのですが、それでもダメでした。

 腎臓は、血液を濾過して老廃物を体外に排泄させるという重要な働きをする臓器ですが、
それが全く働かなくなると、水分がどんどん体に溜り、血液が汚れ、状態が悪化して行くのは火をみるより明らかです。
 翌朝から腎臓の血流改善に用いるドーパミンの微量点滴に加え、2種類の利尿剤を限度一杯まで使用したところ、昼頃になって約10ccの排尿があり、祈るような気持ちで治療を続けました。
しかし、排尿はその後もみられず、夜7時過ぎにとうとう亡くなってしまいました。

糖尿病で亡くなる動物はめったにいませんが、今回の猫のように
重度の合併症で状態が悪化し死んでしまう事があります。
「水を飲む量がやけに多い」
「異常なほど食べるのに痩せて来た」
「盗み食いをするようになった」
などの行動に気がついて、早めに病気を見つける事ができたら緊急事態に陥る事もないのですが。

それにしても2日間糖尿病の猫にかかりっきりだったので、亡くなってしまってから軽く脱力感に襲われました。
この2日間はこの猫以外の記憶がなくなってて、自分が他に誰を診察したとか、どんな会話をしたのか全く覚えてないんです(愕然!)。
また今日から気持ちを新たに頑張りま~す!
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