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北海道で働く女性獣医師の動物病院経営ブログ

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可哀相なイタグレ

先週の月曜日に帝王切開をしたイタリアングレーハウンドのことなんですが、
ブリーダーさんの飼っている犬で、前日に第1子を分娩中に胎児を引っ張ったら、裂けてちぎれてしまったそうなんです!!

それっきり陣痛がきても母犬は苦しむばかりで、子犬は産まれて来ませんでした。
 ブリーダーさんは月曜日の朝になるのを待って病院に走って来たと言う事ですが、できれば当日のうちにどこの病院でも良いから手当てをしてもらえばまだ間に合ったと思うんですよ。
 箱の中でぐったり横になっている母犬は、ひどく衰弱し体が冷たくなっていて、陰部からは汚い色をした帯下がどろどろと出て,体中から腐ったいやな臭いがします。
 大急ぎで点滴をつけ血液検査をしながら体を暖め、小1時間ほど状況改善をはかってから、すぐに帝王切開にかかりました。
 お腹を開けると赤黒い汚い色の腹水が貯留し、4頭の胎児はすでに死んで腐敗が始まっていました。子宮も腐肉色。
 腐りかけた子宮は残しておけず全て切除しましたが、手術が終了しても麻酔からの覚醒が悪く、ぐったりと頭も上げられず寝たままの状態が丸1日続きました。
 低体温、低血糖、貧血などの典型的な敗血症の症状で、いつ死んでもおかしくない状態でした。

ブリーダーさんは
「これ以上お金がかかっても困るし、犬置いていくから。先生、治ったら誰かもらい手捜して?」
ブリーダーというのは犬の繁殖をさせる商売ですから、お産に失敗したあげく子宮を失った犬に商品としての価値はなく、もし元気になったとしてももういらない。
これが本音でしょうね。
 普段はこんな無責任な要求は断固としてお断りする私ですが、イタグレがあまりにも哀れで引き受ける事にしました(泣)。
目一杯治療しても助かるかどうかさえ分からないし。

それから1週間。
ずっと具合の悪い状態が続き、縫合したところが腹膜炎のため1度大きく裂開し、中から炎症産物がドロドロ出て悲惨なことに。。。
「死んじゃうかなあ」
と思っていたら、その後から奇跡の回復(!)。元気にご飯を食べるようになり、ちょろちょろ動き回るようになりました。
 初めのうちは痛さと恐ろしさのせいか、処置のたびに歯を剥いて唸ったり噛み付いたり、危険なやつと思っていましたが、元気になってみると実は性格も明るくて結構いいやつでした。

 せっかく女郎部屋(!)から脱出できたんだから今度は思いきり愛して可愛がってくれる人に飼われるといいね。もらい手募集しようかな。

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