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北海道で働く女性獣医師の動物病院経営ブログ

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尿道の腫瘍

先週、おしっこが出なくなって来院された、エリちゃんの続報です。
翌日、尿道の粘膜をミミカキに似た器具で少しだけけずって、病理検査をお願いしました。

その間も、毎日膀胱に針を刺して、直接尿を取るために来院されていましたが、エリちゃんがこの処置を嫌がって暴れるようになり、4日目に膀胱から直接お腹にカテーテルを出す方法で手術を行いました。この処置をすると、膀胱からの尿はお腹の管から出っぱなしになるのですが、それからはオムツをしてとても楽になりました。
6日目に病理検査の結果がきました。
移行上皮癌という悪性腫瘍で、しかも進行癌でした。この癌は尿道の周囲に進行していきやすく、しかも全身転移の可能性も大いにあります。すでに転移している可能性は50%です。
私が飼い主さんにお話しした内容は、とても重い決断をお願いするものでした。
1.手術をして尿道を全部切除し、さらに術後は抗がん剤治療で完治を目指す。ただし、確率的には低いと言わざるを得ません。
2.手術だけして、抗がん剤は使わない。そのあとは抗生剤と痛み止めを使う。
3.手術はしないで、抗癌剤治療で癌を小さくして生活の質の向上をめざす。ただし、抗がん剤は必ず効果があるものではなく、副作用が強く出るなら使えない場合があります。
4.手術をしないで、抗生剤と痛み止めで行けるところまで行く。

それぞれ平均生存日数という、実に無機質的な数値があるのですが、実はそれほど余命に差がないという冷酷な事実もあるのです。
しかも、どの選択でもお腹の管から尿を取ることに変わりはありません。
 もし、自分が長年一緒に暮らしてきた動物が、この病気になったとしたら、私はいったいどんな治療を選択するのだろうか、考え込んでしまいました。
すぐに答えは出ないのが人情ではないでしょうか。

エリちゃんの飼い主さんご夫妻は、返事を次回に持ち越してお帰りになりました。
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2 Comments

平川武史 says...""
動物の場合でもガン治療にはさまざまな選択肢があるんですね。4番の方法のような、QOLに配慮した治療法が動物にもあるということは知りませんでした。人間の「ホスピス」のようなものも存在するのでしょうか?ペットといえども飼い主にとっては大切な家族でしょうから、なるべく痛みなどを感じさせないような治療で、なおかつ最も長く生きられる方法を選択しなくてはいけないですね。
2008.11.01 23:58 | URL | #79D/WHSg [edit]
こうらかずえ says...""
動物にホスピスはありません。いかなる状況になっても、ペットは飼い主様との時間を何よりも求めます。痛い時、苦しい時、一人ぽっちでは耐えられなくても、やさしい飼い主さんのぬくもりがあれば、頑張れる子は沢山いるんです。
2008.11.04 17:08 | URL | #79D/WHSg [edit]

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